Episode of Works


ラ・サリーヌ・ロワイヤル

サイヒロコとラ・サリーヌ・ロワイヤル

サリーヌ・ロワイヤル中央部を占めるディレクターズハウスはその複雑な構造により、「すべてのアートを拒絶する空間」とされてきた。

1995年8月、サイヒロコがこの難しい空間に挑み、見事制覇した。館内滞在制作によるサイヒロコの「4次元アート」展で、サイは、サリーヌ・ロワイヤルを、音、映像、光、ハイテクノロジーをアートによって飲み込み融合された体感的四次元宇宙空間に変え、自分を発見し、創造のためのコミュニケーションを産み出す、胎内宇宙とした。
「彼女の才能は数世紀に一人、稀に現れる天才のみが持つものだ」(セルジュ・アントワーヌ前環境相)との絶賛を得た。ルドゥの未来を語る設計思想を収収しながら建物内の構造物を自分の作品の一部に取り入れ、空間を残さず制御してしまったからである。

サイの作品好評を博し、この地方の出身であるパスツール100周年記念展を縮小させてまで、期間を5ケ月間延長して展示された。

EU文化交流センターとしての機能を持った、サリーヌ・ロワイヤルでは、サイヒロコをオーガナイザーに定め、さまざまな文化交流プロジェクトを行った。アートとは「人間とは何か」を追求する、社会の中心的存在として常にあるべきであるというアイディア、その実践における方法論が評価され、テーマにふさわしいオーガナイザー指名となった。

2000年には、「フランス国家プロジェクト2000」が展開され、サリーヌ・ロワイヤルでは、「コミュニケーションと創造性」をコンセプトに、新しい形態の体感型エコミュージアム SAIマルチメディアミュージアムをオープン。
世界遺産内部の主要空間に個人美術館が新規に作られ、永久保存されるというかつて無い試みであり、18世紀理想都市の21世紀に向けた歴史的再編となった。

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